4.「松屋十八景詩」にみる都市環境的要素とその特徴

(1)漢詩文「松屋十八景詩」を題材に,詠まれた風景を都市環境的視点(水,空気,音,光,音,温湿度の6項目)より分析し,読み解く手法を提案した.

(2)都市環境的要素として設定した 6 項目のうち,温湿度を除く 5 項目,すなわち,水・空気・音・光・色でそれぞれ特徴がみられた.

  • 水は「気象」に関すること,「海」や「水田」などの対象物で特徴がみられた.
  • 空気は 18 景中 9 景で「風」が出現しており,作者の好み,作風といえるかもしれない.
  • 音は「鐘の音」「鶏の鳴き声」や「生活音」に分けられた.「鐘の音」は風に乗って届くという表現も見られるため,空気との連動が指摘できる.
  • 光は「太陽」と「月」に代表され,夕日では夕日に染まった色(茜色,オレンジ色)が連想される詠まれ方をしていた.
  • 色は「白」「青」「緑」「オレンジ系」に分けられ,光との関連で白,オレンジ,虹色が連動している.
  • 「虹」について補足すれば,水とかかわりがあり,光と色にまたがるような関係性がある.

(3)残された課題とし,以下のことがあげられる.

  • 都市環境的要素の 5 項目,それぞれについて,都市空間における特徴の把握を行い,より理解を深めたいと考えている.そのためには,実験的な手法により,検証していくことが課題といえる.