(図表は,谷本,村上,目山の成果による)
松屋十八景は,徳山毛利家第三代の毛利元次(1667-1719)がお城の亭である「松屋」からの眺めにもとづいて選んだ「景題」である.
「景題」の代表的な例は,中国南宋末期(13世紀後半)における画題として,「瀟湘八景」「西湖十景」があり,このような文化が周辺諸国に伝搬している.
松屋十八景は,共通の視点場(松屋)からの眺めを詠んだものであることが特徴である.
とくに,宇都宮遯庵の「松屋十八景詩」の景 題の配列では,「季節」の並びで読まれており,方角により季節が設定されたことがわかる.
表2.1 直線上に詠まれた景のまとめ
季節に分類 | |
①城山茂陰→②浜崎帰帆 | (松屋)春 |
④興元晩鐘→⑤八坳淡雪 | 秋→冬 |
⑥馬場桜花→⑦当南列松 | 春→夏 |
⑦当南列松→⑧大河内秋月 | 秋→夏 |
陸と海に分類 | |
⑩席上観海→⑪蛇島盆石 | 陸(松屋)→海 |
⑪蛇島盆石→⑫松声聞濤 | 海→陸 |
⑫松声聞濤→⑬相島薫風 | 陸→海(海側の陸) |
⑭野島過雨→⑮金崎漁舟 | 海側→手前 |
⑰辻村炊煙→⑱松屋対田 | 海→陸(松屋) |