1.松屋十八景とは

「松屋十八景」とは,徳山毛利家第3代,毛利元次が選んだ「景題」である.
「松屋」は,徳山毛利家の居館(徳山屋形)から少し離れた場所にあった「亭」である.
毛利元次は,松屋から見た景色をもとに,家臣や招いた学者に詩文を詠んでもらっている.

中国の南宋末期(13世紀後半)に,瀟湘八景,西湖十景と呼ばれる「画題」が示され,これが周辺諸国へ伝搬している.
日本でも江戸時代初期(17世紀)に近江八景なとが画題となる.特定の地域の景勝を選定し,文学的表現のターゲットにすることが,当時の流行となっている.

松屋十八景の特異性

松屋十八景が〇〇八景などと一線を画すのは,共通の視点場からの眺めを「景題」としている点にある.
このような例は,ほかには見られない.